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意外に知られていない 噛み合わせと体調不良の緊密な関係!!

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はじめに

私事ではありますが、20年ほど前に「かみ合わせを治せば肩こり頭痛が治る!!」という本を出版した際に、周りからは「咬み合わせを治したぐらいで、肩こりや片頭痛が治れば苦労しないよ!」というようなことを言われたものですが、長年、臨床を重ねてきた結果、今では噛み合わせ治療で8割以上の方は改善すると断言しています。
今回は、噛み合わせと不定愁訴との関係をお話ししていきたいと思います。

1、噛み合わせ不良が引き起こす症状

噛み合わせ不良と不定愁訴の関係

頭痛、肩こり、首の痛みなどは、噛み合わせの不良が体に与える悪影響として、テレビや雑誌などのマスコミで取り上げられる機会も多くなってきました。
こうしたこともあって、これらの症状がひどい場合に、歯科医院で治療を受けようと希望される方も増えてきました。

噛み合わせ不良が引き起こす問題は、大きく分けて頭痛・肩こり・腰痛などの筋肉系の問題と、頸椎のねじれに由来する血管、神経などへの圧迫から生ずる、手足のしびれ・イライラ・生理痛など自律神経系の問題の二つになります

生理痛がひどくて歯科医院に行くというのは、なんともこっけいなことにも思えるのですが、実際、噛み合わせの治療をしてから生理痛がなくなったということを、当クリニックでは数多くの方が経験されています。
噛み合わせ不良不定愁訴(頭痛・肩こり・めまい・耳鳴りなど)の関係には、不明な点も多く、同じような噛み合わせの人を治療しているのに、両者の治療結果に大きな差が出ることもあります。

噛み合わせ不良と関係していると思われる症状

したがって治療前に「不定愁訴が100%治りますよ」と断言できない歯がゆさはありますが、噛み合わせのズレが健康に多大な悪影響を与えていることは、疑いようのない事実であり、今後とも噛み合わせの大切さが年々クローズアップされてくることは間違いないでしょう。

噛み合わせ不良と関係していると思われる症状には、頭痛・肩こり・耳鳴り・生理痛・生理不順・冷え性・手足のしびれ・腰痛・めまい・不眠症・鼻づまり・高血圧・イライラ・ぼんやりするなど多岐にわたっています。

2、噛み合わせの悪さと体調不良の程度の相関関係

当クリニックを訪れる噛み合わせに問題のある患者さんの多くが、「私の噛み合わせのズレはひどいほうですか?」という質問をされます。
噛み合わせがずれているかどうかは、私にはほとんどが一見しただけで判断できます。
噛み合わせのズレの程度も、10段階で示せば何点ぐらいだという判断をつけることは可能です。

しかし、そのズレの程度と体調不良のひどさが必ずしも一致しない場合も多いのです。
たとえば、噛み合わせの悪さが10点満点で3点くらいなのに、たいした体調不良を訴えない方もいれば、10点満点中5点であっても、とてもひどい体調不良を訴える方もいるのです。

もちろん、統計的には、噛み合わせのズレがひどい人ほど、体調不良のひどい人も多いのですが、虫歯のように、虫歯の大きさに比例して痛みもひどくなるという絶対的な相関関係は、噛み合わせのズレと体調不良の間には見られません。
というのも、噛み合わせ不良による不定愁訴の原因として、筋肉の強さやストレス耐性も関係しているからなのです。

顎関節症の発生比率は女性が男性の5倍もの高さになるのは、筋肉の強さとストレス耐性に関係しているからです。
ですから同じような噛み合わせでも、不定愁訴の程度には個人差が出てしまいます。
したがって、噛み合わせを治しても、すべての体調不良が治るということを治療前に約束することは不可能なのです。

3、矯正治療で不定愁訴はすべて完治するか?

患者さんが当クリニックで矯正治療を決断される動機

患者さんが当クリニックで矯正治療を決断される動機には大きく分けて2つあります。
1つ目は見た目の歯並びをきれいにしたいというもので、もう1つが、頭痛、肩こり、生理痛などの不定愁訴を治したいということです。

後者の不定愁訴を治したいという人は、内科などいろいろな科を転々としていたり、以前矯正治療で体調を悪くしたりして、もう一度矯正治療をしてでも治したいという切実な思いの方が多いのです。
そういう方にとっては、すべての不定愁訴が完治するのかどうかはとても重要なことなのです。
不定愁訴の中にも完治しやすい項目と、改善はしても完治しづらい項目がありますし、当然、患者さんによっては治り方も違ってきます。

筋肉的な原因の不定愁訴は、スプリント治療で改善

以前、「不妊の治療として矯正治療をやりたい」という方がいました。
不妊の目的だけのために矯正治療をして、妊娠という結果が伴わなかったとき、患者さんは果たして納得できるのだろうか。そのことを十分に話し合って結果的に矯正治療を見送ったことがあります。

生理痛にしても同じで、多くの患者さんは治療後に生理痛から解放されて楽になってはいますが、治る確率が100%でない以上、治療前に「絶対に治ります!」とは言うべきではありませんし、断言していしまうと治療後のトラブルの原因にもなりかねません。

頭痛や、首の痛みなど、筋肉的な原因の不定愁訴は、スプリント治療での改善により、矯正治療後にスプリント治療以上によくなることは約束できます

しかし、自律神経系に問題がある不定愁訴は、スプリントだけでははっきりした答えがでにくいので、矯正治療が終わるまで「絶対に治る」とか、「完治します」とか言えないのが現実です。
(もちろん「矯正後に悪化することはない」ということは断言できますが……)

4、矯正治療途中での噛み合わせについて

矯正治療で歯を動かす場合、初めは、ある意味では、いったん今現在の歯並びや噛み合わせを壊すので、治療での理想とするゴールとは違う方向に動いたりします。
そんなとき、本当にきれいに治るのかどうか不安になる患者さんもいらっしゃいます。

たとえば、古い家があって新築するときに、いったん古い家は壊して更地にしてから新しい家を建築しますが、それと同じで、矯正治療においても昔の悪い歯並びや噛み合わせを残しながら治療するわけではなく、以前の噛み合わせをいったん白紙の状態に戻してから新たに正しい噛み合わせをつくっていきますので、矯正治療の初期段階には右や左ばかりが当たったり、歯と歯の間に隙間ができたりしても全然問題ありません。

少しずつ正しい噛み合わせを作っていって、個人差はありますが、大体半年過ぎたあたりから正しい形に近づけていくのです。
不定愁訴の改善なども、矯正治療を始めたからすぐによくなるというわけではないので、ある程度の噛み合わせの土台が作られるまでの時間が必要です。

☆まとめ

いかがでしたでしょうか?
長い間、矯正治療は美容のための治療と考えられていましたが、長年矯正治療に携わってきて、正しい噛み合わせを作れば、不定愁訴も改善する一方、間違った噛み合わせを作ってしまうと矯正治療が、顎関節症の誘発原因にもなりかねないということがわかってきました。

なかなか改善しない不定愁訴がある方は、噛み合わせ治療に力を入れている歯科医院でご相談されるのも大切かと思います。

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部分矯正専門医院の銀座青山YOU矯正歯科を6医院開院中。院長プロフィール、主な著書など。

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