部分矯正

歯はなぜ動くのか??

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はじめに

矯正治療とは歯を動かしていく治療です。
患者さまにとって、「どうやって歯が動いていくのだろう??」という疑問は、誰しもが考えることと思います。
今回は、出来るだけ、わかりやすく歯の動かし方を説明していこうと思います。

銀座 青山 You矯正歯科

1、「歯が動く」仕組み

矯正治療によって歯が動くことが不思議でならない」と言われる患者さんが本当に多いです。
普通に考えて、びくともしない歯がいろいろな方向に動いていくことは、とても不思議なことなのだと思います。
しかし歯というものは、同じ方向に持続的な力を加えていけば、少しずつ力の加わった方向に動くしくみになっているのです。

たとえば、毎日親指を噛んだり、鉛筆を噛んだりしている子どもの前歯は、どんどん出っ歯になっていきます。
それは、持続的な力がある方向に加えられた場合に、押される方向の歯茎が貧血状態になることからスタートします。

この貧血状態は、体にとっては正常とは言えない状態なので、ホメオスターシスといって体を正常な状態に戻そうとする機能が働き、圧迫された歯槽骨には、歯槽骨を溶かして貧血状態を正常の状態に戻そうとする破骨細胞という細胞が出現して働き始めます。

この場合、押された方向の骨が溶け出すだけでは、歯槽骨がどんどん減ってしまい困ったことになりますが、力が加えられた逆の場所には、歯槽骨を新たにつくっていく造骨細胞という細胞も出現して歯槽骨をつくる作用が働き、一方的に歯槽骨が減り続けないようバランスをとるのです。

このようにワイヤーで歯を動かす場合も、マウスピースで動かす場合も、歯が動く原理はどちらも同じことなのです。

歯はなぜ動くのか??

2、すき間のないところには歯は動かない

指を吸っていれば前歯が出っ歯になるというのなら、逆に前方から前歯を押していれば出っ歯が治りますか、という質問を受けたことがあります。
歯の動く原理から言えばそのとおりなのですが、歯を動かす原理には、もう一つ大切なことがあります。
それは、歯と歯の間にスペースを確保できなければ、その方向に歯を動かすことができないということです。

一般的に行われている抜歯矯正は、歯を抜くことによってこのスペースを確保して歯を動かしていきます。
そして当クリニックで行っている非抜歯矯正では、奥歯を外側と後方に動かしてスペースを確保してから前歯をきれいに並べていくのです。

奥歯に十分なスペースをつくらずに前歯を動かしていけば、当然前歯は前方に並んで出っ歯気味になってしまいます。
歯を抜いたり、歯を削ったりして歯を動かすスペースをつくるのか、奥歯を動かしてスペースをつくるのかは、その歯科医がどこの位置が正しい噛み合わせと考えているかにも関係してきます。

すき間のないところには歯は動かない

3、歯体移動と傾斜移動

矯正治療における歯の動かし方には、「歯体移動」と「傾斜移動」があります。
傾斜移動」とは顎の中に埋まっている歯の根っこ(歯根と言います)よりも、見えている歯の部分(歯冠と言います)を動かすやり方で歯根の部分はあまり動かしません。

一方「歯体移動」は、顎の中に埋まっている歯根と歯冠を平行に動かす動かし方です。
部分矯正のような前歯だけを動かす矯正ではすべて「傾斜移動」で動かしますが、抜歯して矯正する場合は、「歯体移動」がメインになります。

歯体移動

歯体移動

傾斜移動

傾斜移動

4、歯体移動と傾斜移動の使い分け

抜歯矯正においては、抜いたスペースに歯を移動しなければならないので、傾斜移動では、歯が傾き噛み合わせが悪くなってしまうため歯体移動で動かします。
一方、歯を抜かないで矯正していく場合には、歯茎の上の見えている部分だけを移動しますので傾斜移動で動かしていきます。

骨の中まで動かすか、歯の部分だけを動かすのかで、歯を動かす矯正期間や、歯根への影響も違ってきます。
歯体移動で骨の中で歯根を動かしていくには、歯を動かす時間が長くなってきますし、強い力を長期間かけていくために、歯根が吸収して短くなってきます。

部分矯正の治療期間が約6か月と短くできるのは、部分矯正が傾斜移動で動かす治療なのに対して、抜歯矯正というのは歯を抜いて歯根を平行に動かす歯体移動での動かし方が必要なために3年近くもの治療期間がかかってしまうのです。

歯を抜いたスペースに歯体移動で動かす

5、ワイヤーによる歯の動かし方

矯正治療は、歯にブラケットという金属かセラミック等をくっつけてその溝の中に丸型か四角のワイヤーを入れて歯を動かします
矯正のワイヤーには丸いワイヤーと四角いワイヤーがあります。一方、歯につけるブラケットの溝は角型と決まっています。

ブラケットの幅とサイズにはいろいろなタイプのものがあり、ワイヤーにもいろいろなサイズのものがあります。
ブラケットの幅が広いほうが歯の移動は容易ですが、ブラケットの幅が広いと、隣りの歯との距離が短くなり、それぞれの歯にかかる力が強くなりすぎるので、並んでいる歯の状況を見ながら、ブラケットのサイズを決めます。

ブラケットの溝(スロットと呼ぶ)にワイヤーを入れて歯を動かしますが、丸いワイヤーのときには、歯は前後の平面的な動きしかできません。
しかし、四角いワイヤーを入れて動かすときは、歯にトルクという回転力を加えることができるので、三次元的なねじれやひねりを伴う動きも可能になります。

そのとき、スロット(溝)とワイヤーの間に遊びの部分が少ないと歯は大きく動きますが、力が強すぎて過度の力がかかってしまうので、必ずスロットの大きさとワイヤーの太さの関係には適度の遊びが必要です。
丸いワイヤーと角のワイヤーの使い分けとして、治療開始当初の前後的な動きだけを必要とする場合には丸いワイヤーを使いますが、細かい動きを必要とする中期以降では角型のワイヤーを使うことになります。

傾斜移動では主に丸いワイヤーを使用しますが、歯体移動では主に四角いワイヤーを使用して動かしていきます。
丸いワイヤーは、形状記憶のあるニッケルチタン系のワイヤーで決まった形状の歯列をつくることを目的とします。
角型のワイヤーは、ステンレススチール系かゴムメタルの材料で、細かい治療を行います。

ワイヤーによる歯の動かし方

☆まとめ

いかがでしたでしょうか?
歯が動く原理はわかりましたでしょうか?
歯が動いている最中も、実際に何が起こっているのかイメージしにくかったとは思いますが、少しはイメージできるようになりましたか?

患者さまが歯の動かし方を理解する必要はないかもしれませんが、矯正治療に対する疑問が1つでも減っていくことで、矯正治療に対する不安や恐怖が減っていただければと思います。

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