抜かない矯正

「噛み合わせ」で悩む患者さんとDrの「噛み合わない」実例

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はじめに

噛み合わせの問題で、患者さんの抱える悩みは多種多様で、歯科医院を転々とされる方も少なくありません。そういう患者さんの噛み合わせの悩みを受け止めきれないケースが増えてきています。

私のクリニックには、他院で矯正治療が終了したり、治療が途中の方がご相談に来院されることも多く、その中の何人かを紹介します。

「噛み合わせ」で悩む患者さんとDrの「噛み合わない」実例

銀座 青山 You矯正歯科

1、歯科医に捨てぜりふをはかれた患者さん


患者「矯正治療を始めてから頭痛や肩こりなどがひどくなり、体調も良くないので矯正治療を中断して様子を見てみようと考えているのですが、治療を途中でやめることはできないでしょうか?」
医師「何を言っているのですか。もう歯を抜いて動かし始めているのだから、今さら中止できるわけないでしょう。体調が悪いようなら、良くなるまではこのままにしておきますから、体調が少しでも良くなったら再開しましょう」

この後、患者さんの体調は改善しないが、担当の歯科医師は、「矯正治療体調不良は関係がない」の一点張りなので、整体やマッサージに行きながら少しずつでも体調を良くしようと努め、少しは良くなってきたと思えてきたので、矯正治療を再開しました。

そうすると、今度は頭痛、肩こり、首の痛みだけでなく、手足や体のしびれが出てきたので、再度担当医と話し合おうとしました。


患者「先生、やはり矯正治療を中止したときには体調は少しずつ戻りかけていたのに、矯正を再開すると昔のように体調不良が生じ、今回は手足までがしびれてきたのですが、本当に体調不良と矯正治療は一切関係がないのでしょうか」
医師「あなたねー、体調が悪い、体調が悪いと何度も同じことばかり言いますが、今回も実際ここまで歩いて来ていらっしゃるじゃないですか。自分の中で、勝手に体調が悪いと思い込んでいるだけですよ」
患者「……」

歯科医に捨てぜりふをはかれた患者さん

この歯科医師は、患者さんが何かを質問するとそれに対して怪訝そうな顔をして、とくに体調が悪化していることを言うと半ば無視を決め込み、聞かなかったふりをしていつもと同じように、治療して終わりにするらしいのです。

そして最後に、「私はきちんと治療を続けていたのに、体調がどうのこうのと治療を中断したのはあなたなのですから、治療期間が延びてしまうのは、あなたの責任ですからね」と捨てぜりふをはいたと言うのです。患者さんは、この歯科医師には治療を任せられないと転院を決意されました。

この患者さんは物腰も柔らかく人を責めたりするタイプではないので、話せばわかると思うのですが、この歯科医師は自分の治療にケチをつけられたと思い威圧的な態度になったのと、体調が悪くなったと言われても、どう治療していいのかわからなくなったのであろうと推測されます。

この患者さんは、当クリニックで再度矯正治療をやり直し、体調不良も改善し治療が終了しました。
残念なことは、当クリニックに来られる前にすでに小臼歯を四本抜いてしまっていたので、抜いてしまった歯は元に戻せないことです。

矯正治療の場合、一般的に転院は難しいので、患者さんも歯科医も治療が終わるまでよい人間関係を維持できるように気を遣っていますが、歯科医のほうが立場が強く、患者さんのほうが必要以上に気をつかわないといけない場合があるので、歯科医師の人間性はよく観察しておいたほうがよいと思います。

2、歯科医の技術不足で改善しなかった患者さん

*矯正治療期間中


患者「先生、何か顎がしっくりこないのですが、このままで大丈夫なのでしょうか?」
医師「(ニコニコしながら)大丈夫です。きちんと並べばしっくりきます」

*矯正治療終了時


医師「(ニコニコ)今回で矯正治療を終了しますね」
患者「先生、やっぱり顎がしっくりこなくて、どこで噛んでよいのかわからないのですが…」
医師「(ニコニコ)大丈夫です。装置をはずせばしっくりくるようになります」

*矯正装置除去後一ヵ月


患者「先生、やっぱり以前と同じように、どこで噛んでいいのかわからないですし、頭痛や肩こり、首のこりなど、矯正する前よりひどくなっているのですが、どうすればいいのでしょうか?」
医師「(ニコニコ)大丈夫です。時間がたてば治ってきます」

これは漫才でも笑い話でもなく、実際に患者さんと歯科医師が交わした会話のようです。
この患者さんは、このままその歯科医院に通っても、この歯科医師は答えを先送りにするだけで、逃げることしか考えていないとあきらめて、当クリニックに相談に来られました。

この歯科医師も人間的には悪い人ではないようですが、この歯科医師の技術と知識では、どう対処していいのか、全然わからないから、こういうトンチンカンな会話をしているのでしょう。

実際に噛み合わせのことがよくわかっていない歯科医師からすると、患者さんの言っていることが変な妄想のようにしか思えないのだと思います。

歯科医の技術不足で改善しなかった患者さん

3、因縁をつけたと思われた患者さん


患者「矯正治療をしてから、体調が芳しくないし、どこで噛んでいいのかよくわからないんです」
医師「体調がよくないのと、矯正治療に何か関係があると言うのですか」
患者「歯科の本で、噛み合わせが悪いと、頭痛、肩こりなど多くの体調不良が生じると書いているのを読んだことがあるのですが…」
医師「歯並びと体調不良が関係しているということを言う歯科医は、お金が欲しくてそういうことを言っているだけで、そんなことが関係しているわけないでしょう」
患者「……」

彼女の噛み合わせには確かに問題があり、スプリントを入れるとすぐに体調不良が改善しました。そして噛み合わせも安定していないために歯の裏側から接着している保定装置がすぐにはずれてしまいます。あと五年は我慢して表からワイヤーをつけてくださいと言われたのもいやで相談に来られました。

一年で治療が終わると言われていたのに、五年近くも歯の表面に目立つ針金のようなものをつけて我慢しなさいと言われる患者さんはとてもかわいそうでした。

担当をした歯科医師も、自分の知識や技術で対応できないことを言われる患者さんのほうが、何か因縁でもつけてきているように感じ、強い語調で患者さんを突き放そうとしたのでしょうが、同様の治療をしているかぎり、同じ訴えをしてくる患者さんは今後も必ず出てくるでしょう。

4、治療のたびに体調不良になった患者さん


患者「先生、私はここ二年噛み合わせ不良が原因で、体中おかしくなり、頭痛、肩こりだけでなく、ついに左の顔だけヒクヒク痙攣が起きたり、左の足がしびれてき始めたんです。これらの症状をどうにか治してもらえないでしょうか。

今までに、5軒の歯科医院に相談に行って、スプリントは二個つくってもらいましたが、どちらも装着すると気持ち悪くなりはずしてしまい、歯科医院で行う『咬合調整』とかいう歯を削られるたびに、どんどん体調が悪くなってしまうんです」

医師「それはかわいそうに思いますが、歯科医の中でも噛み合わせの正しい治療のできる方はほとんどいませんし、噛み合わせの治療は儲からないんで、歯科医は治療をやりたがらないんですよねー」
患者「……」

治療のたびに体調不良になった患者さん

これは、大阪からわざわざ来院された患者さんから聞いた話ですが、こんな会話がクリニック内で許されるのかと耳を疑ってしまいました。
この患者さん自身も、お金のことを怒っている様子もないので、大阪特有のシャレの意味もあったのかもしれませんが、とにかくこの会話にはびっくりさせられました。

5、矯正治療に不信を感じた患者さん


患者「私は歯を抜かないという治療方針だったので、×○矯正歯科で矯正治療を始めたのに、治療途中で『やっぱり歯を抜かないと、この歯では矯正は無理ですね』と言われ、小臼歯を抜かれ、二年ぐらいで終わると言われたのに、三年たった今でもまだ終わっていないので、いつまでかかるのかと聞いても、『もう少し』という回答ばかりで信用できなくなり、こちらに相談に来ました」

矯正治療に不信を感じた患者さん

このような患者さんが何人かいらっしゃいました。この患者さんたちは、歯を抜かないということで治療を始めて、途中でやっぱり歯を抜くのは詐欺と同じじゃないかと強い憤りを持っておられました。

患者さんによって、それぞれ価値観は違いますので、歯を抜きたくないからその治療方針を受け入れる人もいれば、矯正装置が見えないことが一番大切という人は舌側矯正治療を選ばれることでしょうし、この患者さんが言われるように、歯を抜かないということでそのクリニックを選ばれたのに、治療途中で方針を変えられると、患者さんの立場からすると、「騙された」と感じるのももっともだと思います。

歯科医のほうも、考えられる可能性は十分患者さんに説明し、納得されてから治療を始めるべきだと深く感じました。

☆まとめ

いかがでしたか?
今現在、噛み合わせで悩まれている方からすると他人事とは思えない内容でしょうし、「そんなことがあるんだ!」という客観的に読める人もいるでしょう。

噛み合わせの考え方や治療方法は、歯科医院によって微妙に違うことが多い治療です。
最終的に患者さんが満足していただけることがゴールですが、行き違いで平行線のままゴールが見えない関係の患者とDrの関係も少なくありません。

むやみに転院してドクターショッピングになることは避けるべきですが、同じ治療方法でいつまでも結果が伴わない時は、思い切って転院を考える必要がある場合もありますね。

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部分矯正専門医院の銀座青山YOU矯正歯科を6医院開院中。院長プロフィール、主な著書など。

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